パソコンを比較していると、同じような価格帯に「Core i5」搭載モデルと「Ryzen 5」搭載モデルが並んでいます。どちらを選べばいいのか、そもそも何が違うのか——スペック表を見ても判断できず、結局よく聞く方を選んでしまう、という方は多いはずです。
結論を先に言えば、日常的な使い方では、どちらを選んでも困りません。ただし選ぶ基準はあります。この記事では、両者の違いと、どちらを選ぶべきかの判断材料を整理します。
まず結論:メーカーが違うだけで、役割は同じ
CoreとRyzenは、作っている会社が違うCPU(シーピーユー)です。それだけです。
| Core(コア) | Ryzen(ライゼン) | |
|---|---|---|
| メーカー | Intel(インテル) | AMD(エーエムディー) |
| 役割 | どちらも同じ。パソコンの処理を担当する | |
| Windows対応 | どちらも対応。使えるソフトも基本的に同じ | |
「Ryzenだと動かないソフトがある」ということはありません。Windowsもマイクロソフトが両社のプロセッサを公式に対応対象としており、日常的に使うソフトはどちらでも動きます。
グレードの対応関係
両社とも、数字で性能のグレードを表しています。同じ数字なら、だいたい同じ位置づけと考えて構いません。
| Intel | AMD | 位置づけ | 向いている使い方 |
|---|---|---|---|
| Core i3 | Ryzen 3 | 入門 | ネット・文書作成 |
| Core i5 | Ryzen 5 | 標準 | 多くの人に最適。事務作業・会議 |
| Core i7 | Ryzen 7 | 高性能 | 写真・動画編集 |
| Core i9 | Ryzen 9 | 最上位 | 専門的な制作作業 |
つまり「Core i5かRyzen 5か」で迷うのは、同じグレードの中での選択です。ここで大きく失敗することはありません。それよりも重要なのは、次に説明する「世代」です。
グレードより重要な「世代」の見方
どちらのCPUでも、型番の数字が世代を表しています。そして世代が古いと、上位グレードでも新しい下位グレードに劣ることがあります。
Core i5-13420H Ryzen 5 7530U
↑ ↑
第13世代 7000シリーズ
(数字が大きいほど新しい)
ここで注意が必要なのは、IntelとAMDでは数字の付け方が違うため、数字同士を直接比べても意味がないことです。「13」と「7」を比べて13の方が新しい、とはなりません。
それぞれのメーカーの中で「新しいか古いか」を見る、という使い方をしてください。判断に迷ったら、販売店の商品ページに「最新世代」と書かれているか、発売時期が新しいモデルかを確認するのが現実的です。
実際のところ、どちらを選ぶべきか
日常用途では体感差がほとんどないため、CPU以外の条件で選ぶのが合理的です。
| 状況 | おすすめ |
|---|---|
| 同じ価格で、片方だけメモリ16GB | メモリ16GBの方(CPUの差より効く) |
| 同じスペックで価格が違う | 安い方。日常作業では差を感じにくい |
| 使いたいソフトが特定CPUを推奨 | 推奨に従う(動画編集ソフトなどで稀にある) |
| 会社支給のソフトを入れる予定 | 情報システム部門に確認 |
| とにかく迷う | どちらでも問題なし。他の条件で決める |
これは前回の記事でも書いた予算配分の原則と同じです。CPUのメーカーやグレードより、SSDとメモリの方が日常の快適さに効きます(メモリ8GBと16GBの違い)。
それぞれの傾向
あえて傾向を挙げるなら、次のように言われることがあります。ただし世代や機種によって変わるため、絶対的な差ではありません。
- Intel Core——採用モデルが多く、法人向けの機種でよく見かける。周辺機器やソフトの動作実績が豊富
- AMD Ryzen——同じ価格帯でコア数が多い構成が見られることがあり、価格に対する性能で選ばれることがある
ただし繰り返しになりますが、ネット・文書作成・会議といった用途では、この差は体感できません。
「内蔵グラフィックス」の違い
もう一点、初心者が知っておくとよいのがグラフィックス機能です。どちらのCPUにも映像処理の機能が内蔵されており、普通の使い方(動画視聴・オフィス作業)ではどちらでも十分です。
軽いゲームや画像編集をしたい場合に多少の差が出ることがありますが、本格的にゲームをするなら、そもそも独立したグラフィックス機能(GPU)を搭載したモデルを選ぶべきです。内蔵グラフィックスの優劣で悩む段階ではありません。
Copilot+ PCとの関係
AI機能に対応した「Copilot+ PC」は、Intel・AMD・Qualcommのいずれのプロセッサを搭載したモデルもあります。「Ryzenだから対応していない」ということはありません。AI PCについてはAI PCとは?で解説しています。
よくある質問
Q. RyzenのパソコンでWordやExcelは使えますか?
問題なく使えます。Windowsが動くパソコンであれば、CPUのメーカーによって使えるソフトが変わることはありません。
Q. Ryzenは発熱が大きいと聞きました
かつてそう言われた時期もありましたが、現在は世代や機種による差の方が大きく、メーカーで一括りにはできません。発熱やファンの音が気になる場合は、CPUの種類より「薄型か厚みがあるか」を見る方が参考になります。薄型は冷却の余裕が少ないためです。
Q. 中古で安いRyzenのパソコンを見つけました
世代を確認してください。古い世代であれば、価格が安くても性能面で不利です。これはIntelでも同じで、メーカーの問題ではありません。
Q. どちらがバッテリーが長持ちしますか?
CPUの種類だけでは決まりません。バッテリー容量、画面サイズ、省電力設計かどうかの方が影響が大きいため、カタログのバッテリー駆動時間を確認する方が確実です。
Q. 「Ryzen 5 7530U」の「U」は何ですか?
省電力タイプを表す記号です。Intelの「U」と同じ考え方で、薄型・軽量モデルによく使われます。性能重視のタイプは「H」「HS」などが付きます。
まとめ
- CoreとRyzenはメーカーが違うだけ。役割も使えるソフトも基本的に同じ
- 同じ数字なら同じ位置づけ(Core i5 ≒ Ryzen 5)。多くの人には5クラスが最適
- グレードより世代が重要。ただしIntelとAMDで数字の付け方が違うため、数字同士を直接比べない
- 日常用途では体感差がないので、メモリ・SSD・価格で選ぶのが合理的
- 「Ryzenだから動かない」「Copilot+ PCに対応していない」ということはない
CPUのグレード選び全般はCore i5とCore i7の違い、選び方の全体像は初心者向けパソコンの選び方で解説しています。

